あれは数年前の夏だった。
「知り合いの教師が小学校で日本語を教えられる人を探してるの。よかったらチャレンジしてみない?」
と、知り合いから連絡があり、日本語教師の平凡妻としてはまさに棚から牡丹餅。棚から諭吉レベルのラッキーなお話をありがたく受け、面接に出かけたときのお話です。
結論から言うと落ちました。
・・・ガーン。人生、甘くねぇ。
今日は平凡妻の人生甘くなかったブログです。ざまぁと笑うかドンマイと思うかで、あなたの心の余裕と清らかさが測れちゃうゾ。
さて、棚ぼた話を受けた当日はもう夜遅く「ぜひエントリーしたい。」とお返事すると、担当の先生より書類審査をするから今すぐCVを送れとのメール。
え~急だなぁ~と頭ボリボリしながらブツブツ文句を言いつつ、チャンスは逃したくない。
金とやりがい、どっちも欲しい。
速攻PCを立ち上げ、CV 書き方 イギリス 受かる でポチ。
Google先生に頼りながら仕上げ光の速さで送信完了。目の前に人参をブラブラされると平凡妻の行動スピードはボルトを超えます。
「CVは素晴らしかったです。教師経験者なら話が早い。ぜひ面談に来てください。」
マジですか。
ありがとうGoogle、やっぱ頼れるヤツだな。
日本で仕事をしていた時は職場でいじめもあり、低賃金でやりがい搾取ばかりされた辛い過去もあったがここに来てそれも無駄ではなかった!!と涙ながらに心のハンカチを握りしめる。
いやいやまだ受かってもいないのに何というポジティブ思考なのでしょうか、この女は。
CVも送ったしもう疲れたから寝よう、その前に面接の日時を確認しようとしたその時、追加のメールが。
「面接は明日10時からです。都合がつかないようなら、申し訳ないが他の候補者を優先します。」
!!!!・・???
・・・チョ、まてよ。なんだと?いくら何でも急すぎる。既に時計の針は真夜中12時だぞ?ノー準備で行くっきゃないの?そんで他にもライバルがいるの?
心は穏やかではありません。
この時の平凡妻は目の前の肉=上等の仕事に飛びかかる飢えた野犬です。
他の候補者を蹴散らし、肉を一人占めするために野犬は戦うのみ。しかし、そのメラメラする野心を邪魔するのもまた自分なのです。
しばらく頭の中で「せっかくのチャンス!面接に向けた準備しようよ」と囁く天使妻と「急だしポートフォリオでも持って行けば何とかなるんじゃね?」と囁く悪魔妻の間を行ったり来たりしました。
結果、悪魔に取りつかれた。
もういいや、家事と育児で疲れているところに徹夜で色々やりたくない、と自分にスイート&スイートな平凡妻はさっさと寝ました。
バカ!!貴様は這ってでもやれ!!!
この夜に戻れるならば、コイツに平手打ちをかました後、ブラックコーヒー3杯を勧め今すぐに面接対策しろと首を絞めて説得するのに。
翌朝、スヤスヤ寝て上機嫌な平凡妻は苦肉の策として過去に作った教材やカリキュラム資料を携えて面接に向かいました。
準備不足と英語の壁を、過去の血肉が支え超えてくれると期待したのです。
到着すると、校長先生と学年主任のお二人がにこやかに対応して下さり、面接はとてもアットホームな雰囲気で始まりました。
まずまずのスタートです。
基本の質問である志望動機などは日本でも何回も聞かれたことがあるので難しくありません。向かうバスの中でそのくらいは考えておいたのです。
というわけで最初は問題なかった。
最初は。
しかし、面接は予想のほか長くなっていき(1時間半!)、それと同時に質問もどんどん具体的で難解になっていきます。もう日本語で聞かれたとしても、正直わからない事すら出てきます。
時間と共に途切れていく集中力。
大したレベルじゃないため、英語は集中しないとすぐ理解が飛ぶし、また答えるにもテニスのサーブよろしくポンポンと打ち返さないと「こいつ通じてない」みたいな空気が漂う。
もう聞き取ることさえ辛くなってきました。
「子供は教えたことがないんですね?」
「集中力のない子供たちをどうやってまとめますか?」
「絵カードなど興味を引くものを使って注意を引いて…あとは大きな声で授業をします。」
「And, so?」
…はぁ?アンドのその先、不明瞭。
「それでも統率がとれない子供達にどうやって学習態度を改めて、頑張るように励ましますか。」
whaaaaat???
…知 ら ん が な
ニッポン国の昭和の人間なのでそんなガキには鉄拳かませ、くらいのことは心のうちに秘めているワケです。
でも言えない。
この優しそうな虫も殺さなそうな先生には言えない。
うーーん、そうですね…。
もう白目むいてる。
「オオキイコエでチュウイ、ダイジデース」
…逝きました。私の肉は他の野犬にかっさわれていきました。
今まで受けたことのある英語の面接がちょろかったのもあり、自分を過信していました。語学に加え、子供相手の仕事に求められる素質が皆無だったことがモロバレだった事が敗因かと思います。
平凡妻、正直に申し上げると子供が苦手です。
子持ちですが、産んでも育ててもやはり無理。嫌いというよりはどう接したらよいのか分からないのです。飴ちゃんあげるくらいしか思いつかない。
帰り道トボトボと落ち込みながら歩いていると、偶然友人にバッタリ。彼女は別の小学校で先生をしています。頼れる心優しいアネゴ肌の友人です。
「今日の面接どうだった?!」
「思った以上にダメだったYO。」
「…Oh dear, sorry to hear that.」
・・・ハグいただきました。
それ以上何も言えない彼女を見て、応援してくれたことが申し訳なくなりました。別れた後は恥ずかしいやら悲しいやらで、ひとり目の前にあったアイスクリームパーラーに飛び込みヤケ食いをかましました。
ストロベリーチーズケーキとチョコのダブル、旨かった。
この面接で学んだことは、
①英語面接は長引くと疲れるので英語脳の基礎体力が必要
②CVはググれ
③良い仕事したければ英語勉強しろ
④落ち込んだら甘いもの食べろ
加えて、人生はアイスクリームのように甘くはない、でしょうか。
あれから時は過ぎ、子供相手の日本語教師は無理でしたが今は大人向けの日本語教師をしています。
何やかんやマイペースに仕事ができる今の環境に感謝してるモン!!と負け惜しみたっぷりでハンカチ噛んでる。
すごいよ…。
仕事をしている在外邦人ってマジで凄いよ…。
経験は無駄にならないしネタになったからいっか~!!キャハ、と生まれながらのトリ頭な平凡妻は今日も明るく生きております。
さっ、今日も一日がんばりましょー!
日本語教師のお仕事って何するの?国語教師と具体的にどう違うの?とモヤモヤする方はこちらの記事をどうぞ↓
それから、お知らせがございます。
この度、(株)ポインティ様のエロコラム、純猥談に掲載して頂きました~!その経緯を書いてありますので、ぜひお知らせもご一読下さいませ↓