なぜイギリス料理はマズイのか。理由は2つ。

「イギリスの食事は不味い。」と人は言います。

「メシマズの国」の地位は世界で不動といってもいい。

他国の食文化を上から目線で揶揄するのは、決して上品なものではありません。好みも人それぞれで、文化や気候も関係するんだからイチャモン付けるな!!

心では思う。そう思う。

でも平凡妻の舌はHonestyって叫んでいる。

…イギリス君…ゴメンね…庇いきれないよ…。

しみじみ思うわ。

時々「まっずいなぁ。」って感じです。その他は「OK」or「思ったよりウマイやんけ。」のくり返し。

もちろん美味しいものは存在する。が、激ウマ!マイ・ミシュランに登録☆はほぼない。「慣れるとしみじみ美味しいよ。」と愛情でカバーはできる。

なぜこんなに評判が悪いのか、実食を重ね考察しました。

イギリス料理がマズイ理由
  1. umami/ 出汁=ウマミとダシの欠如
  2. 食品添加物が少ないゆえ、美味しさを盛れない

・umami/ 出汁=ウマミとダシの欠如

多くの日本人がイギリス料理と舌の相性がよくない理由は、このumamiとダシのせいなのではあるまいか。

先ほどは「イギリス料理はマズイ。」と申し上げましたが、正確には違います。

一般的な日本舌を持つ、ウマミとダシが効いた料理が好きな日本人には、口に合わないのでは?というのが私見。(平凡妻を含め。)

ということで、全ての人がこれに当てはまるワケでもないし美味しいものあります。平凡妻も好きな料理くらいはあります。

ただ数が少ない。

うま味とダシ文化が根付く日本。

日本料理はそのほとんどがダシとうまみで構成されています。

お味噌汁や煮物、ラーメンやうどんは、もはやダシ料理といっても過言ではない。

あの味を出すために見えない大きな力=出汁が働いている。

例えばお味噌汁。

カツオか煮干しのダシをとり、さらに野菜を加え野菜のダシ追加の後、発酵食品のうま味ギッシリの味噌をブチ込み味を決める。香りづけにネギ散らしちゃったりする。

私たちにとって、ダシがない味噌汁は味噌汁ではない。

そう、それはただの味噌味のお湯。

一方イギリス料理は、soup stock=洋風ダシを料理に使おうとする発想があまりありません。メイン調理法はRoastです。オーブンに突っ込む。

Simple is bestを地で行くのが大体のイギリス料理の真骨頂。

そもそも、食事に手間や時間をかけることは無駄で、貪欲に美味しいものを追求すること自体がエレガントではないとすら思っているフシを感じます。

一方、近隣のイタリア・フランスは美食の国と言われています。

特に日本人はイタリアンが大好きですが、それもそのはず。

イタリアはダシ文化です。

ブイヤベースは魚介でダシを取り、ミートソースはソフリットという野菜出汁が使われているのです。

多くの日本人はダシを使われている料理を「美味しい!」と感じるように舌ができている。

コク大好き国民、それ日本人。

それゆえ、保守的な舌を持つ日本人にとってはイギリス料理は相性がよくない。

イタリアに旅行した時、レストランオーナーのイタリア人は我々がイギリスから来たと告げるとはっきりとこういいました。

「British pasta is the worst quality in the world. 」

「Never trust British food.」

…さすがに庇いたくなったけどちょっとわかる。

イギリスのパスタは麺がブヨっているのですよ…。

・食品添加物が少ないゆえ、美味しさを盛れない

日本の食品はウマミ成分を多分に感じさせる化学調味料や添加物がほとんどの食品に使われています。

イギリスで許されている添加物は21種、日本は1500種以上です。

それゆえ、イギリスの食事は必然的に素材の味しかしないし、日本は素材以上の味を出しているのです。

イギリスのマズイと悪名高いReady meal(レンチンごはん)ですが、食品添加物たっぷりではなく全体的に素朴な味です。

日本はコンビニやスーパーのお惣菜は驚くほど安くて美味しいけれど、添加物が入っていないものはほぼ皆無。

食べすぎると健康にも悪い上、慣れてくると何を食べても同じような味しかしません。

ワンコインで美味しいものを食べることはイギリスではほぼ不可能ですが、代わりにオーガニック食材は日本よりはるかに充実しています。

値段もそれほど高くありません。

平凡妻を含め、多くの日本人は安くて美味しいもの=添加物の作ったおいしさに慣れ過ぎているのではないかと思います。

お得パックの日本のレトルト・カレーより、イギリス・スーパーのインディアン・カレーの方が慣れると美味しく感じます。

健康面と安全面は、イギリスは素晴らしいです。

平凡妻はイギリスを愛しているものの、イギリス料理には特に思い入れはありませんが。

別に一生食えなくてもいい。

イギリス友人とイギリスの食事について会話したことがあります。

「そういえば、M&S(イギリスの高級スーパー)で新しく出たピザを買ってみたんだけど・・・」と友人に言いかけたときのこと。

「えっ不味くないよね?!まずいって言いたいの!?」

とやや怯えた表情で言われる。

「いやいや、あれけっこう美味しかったよ。よかったら試してみて。」

と言うと安堵の顔。

「よかった~マズイって言うのかと思った!」

「ねッM&Sは高いけど美味しいでしょう?!」

「イギリス料理は家庭料理がおいしいの。」

「よかった~マズイって言われるとちょっと悲しいのよ。」

お、おう…そうですね。他国の食事を悪く言うのは失礼ですから。

でも、家庭料理ってそもそもイギリス人あんまり料理しないじゃんと盛大に心でツッこむ。(共働きが主流でみな忙しい)

そんな彼女と彼女の息子に日本食を出したことがあります。

メニューは、白米・お味噌汁・エビフライです。

彼女は黙々と食べ続けました。終始、なんとも言えない顔をしながらも時には笑顔を作ってくれます。しかしあまり進みません。

そして唐突に息子が言い放ちました。

「mummy, it’s not good!」

ブハッ!!めっちゃ気まずそうである。

いやこちらも気まずいが、もともと日本料理のほうがイギリス料理より数段美味しいと自負しているゆえなぜか私からは勝者の余裕すら漂います。

ゲスい女なので「日本食のおいしさは簡単にはわかるまい。」くらいのことを内心思っちゃってるのです。

全然傷つきません。ゴメン、友人よ。

なぜこのウマサが分からないのだ…!!

友人と一緒に皿を片づけたとき、ごめんねと謝られました。

「I don’t want him to go in a narrow way.」

つまり、いろいろ食べる子にしたいと。

えぇえぇ、それがいいと思います。

ベイクドビーンズより美味しいものは世の中に溢れているのですから。wideに行きましょうよ。

そんな彼女の息子のお気に入り日本食はダック・ラーメンだそう。

簡単に言えば、ダシのない醤油味のお湯にブヨった麺を入れ、鴨のローストをトッピングした得体の知れないラーメンの姿をした何か、です。

…味覚の文化の違い、思ったよりデカかった。

wagamamaという若干イラつかせる謎のネーミングをしたレストランチェーンで食べられます。

イギリスにお越しの際はどうぞ。

自己保身のために言いますが、平凡妻の料理は不味くありません。

ごく平均的なエビフライを作りました。サクサクした衣に、絶妙な温度で揚げたプリっとしたエビのアレです。

帰り際、自宅のキッチンで揚げ物のあとを見た彼女は言いました。

「あのエビ料理は自分で作ってたの!?」

「揚げ物よ?危なくない?」

「イギリスで家で揚げ物する人なんて見たことないわ。」

Oh,やっぱりあんまり料理しないんじゃないかよ。

平凡妻が定期購読しているイギリス料理雑誌、その名も「delicous」

春号の表紙の一皿、緑野菜のリゾット。

…お察しの通りレシピはあまり参考にはなりませんが英語の勉強にはなっているのでヨシ、です。そしてこの中央にある紫色のブツが一体何なのか、見当もつきません。

ということで、イギリス料理に用はありませんが本日もイギリスを愛しています。

こんだけ文句言っておいてナンですが、今は大体のイギリス・フードは美味しく頂きます。

一時帰国の時はちょっと頭に浮かぶくらい。(カレーね。)

在英期間が長いセミプロ・イギリス人的な邦人の方は、イギリス料理に舌鼓をうつ方が多い印象です。

平凡妻はまだ愛と修行が足りないようです。頑張ります。

※イギリス料理への見解は全て主観です。悪しからず。